最新ファームウェアにアップデートする事で撮影から点群生成までどの程度時間が短縮されているのか検証します。
・検証環境
・ワーキングディスタンス:約400mm
・ワーク:ポリエチレンシート(白)
・カメラ解像度:SXGA(1280×1024)
・撮影条件:
- カメラの露光時間は、旧ファームウェアと最新ファームウェアとで使用できる範囲、値が異なります。その為なるべく近い値同士で比較を行っています。
- カメラのゲインについては、値を大きくするとノイズが発生し、点群品質に影響があるため全て「0」としています。
- 露光時間の範囲が大きいのでプロジェクタの発光強度は最大(=255)で撮影してしまうとハレーションを起こしてしまいます。この対策として一部ハレーションを起こさいない程度の発光強度に変更しています。発光強度の値は撮影時間には影響しません。
・作業用PCスペック
OS:Windows 10 Professional
CPU:Core i7-6500U 2.6GHz
Memory:8GB
内蔵ストレージ:SSD(SK Hynix SSD 256GB SATA6Gbps)
・検証結果
旧ファームウェアと最新ファームウェアで3D撮影時の時間を計測した結果は下記の通りです。
・旧ファームウェア
露光時間 (us) | 撮影時間 (ms) | 点群生成時間 (ms) | 合計時間 (ms) |
---|---|---|---|
8,400 | 909 | 720 | 1,629 |
16,800 | 915 | 739 | 1,655 |
25,200 | 913 | 738 | 1,652 |
・新ファームウェア
露光時間 (us) | 撮影時間 (ms) | 点群生成時間 (ms) | 合計時間 (ms) |
---|---|---|---|
4,000 | 369 | 606 | 980 |
8,000 | 371 | 604 | 981 |
16,000 | 368 | 585 | 958 |
24,000 | 429 | 576 | 1,011 |
32,000 | 558 | 597 | 1,159 |
49,000 | 810 | 600 | 1,415 |
旧ファームウェアは、プロジェクタのパターン発光間隔が一定になっていましたので、どの露光時間でも「900ms」程度の撮影時間が掛かっていました。最新ファームウェアではプロジェクタの発光間隔・カメラ撮影間隔を正確に制御することで、時間を短縮することに成功しました。
補足)
上記の撮影時間は、厳密には「(カメラ露光時間+転送時間+データ処理時間) x撮影枚数(14)」となっています。純粋なカメラの撮影時間「カメラの露光時間x撮影枚数(14)」は下記のとおりです。
・カメラ露光時間が4,000,、8,000usの時は、0.008(sec)x14=0.112秒。
・それ以上の時はカメラ露光時間x14秒。
・カメラ露光時間が4,000、8,000、16,000usの時は、 0.0166×14=0.233秒。
・それ以上の時はカメラ露光時間x14秒。
次のグラフは、先程の表を棒グラフに直したものです。
撮影時間が半分以下になり、最新ファームウェアの最も明るい露光時間「49,000」でも以前より高速になっているのが分かります。
また、点群生成時間も「100」ms以上の時間短縮に成功しています。(※点群生成処理はPCのスペックに依存しますので必ずしも、同じ値ではありません)
次回は、ファームウェアアップデートで追加される新機能の概要についてご紹介したいと思います。